社会福祉法人さざんか会の設立
1954(昭和29)年、船橋市在住の知的に障害のある子供をもつ数名の親たちが、「我が子にも人並みの幸せを!」と立ち上がり活動を始めました。
「船橋市手をつなぐ育成会」(以後、育成会とする。現在会員約500名)の誕生です。
教育や福祉の整わぬ時代、社会の片隅に追い込まれがちな子供たちのために、その親たちは手をつなぎ教育や福祉についての整備を、行政や社会に対して訴えかけました。その育成会が、本格的に社会福祉事業を起こすため1972(昭和47)年に設立したのが社会福祉法人さざんか会です。
つまり、母体は育成会でありこの育成会とさざんか会とは車の両輪のように、お互いに支え合いながら歩んできました。育成会からこういう施設があったら、或いはこういうサービスがあれば等など、育成会のニーズをさざんか会が具体的な事業として展開するという図式になっています。
利用者及び職員体制
旧法の入所更生施設(2か所)や通所授産施設(1か所)、新法の生活介護事業所(2か所)や多機能型事業所(1か所)、そして児童通園施設(2か所)を、幼児から高齢者まで308名の方々が利用しています。
療育手帳から障害程度を見ると最重度判定の方が114名、重度の方が128名で全体の約80パーセントです。中度の方は61名、20パーセントとなっており、総体的に重い障害のある方が多くなっています。
新法移行事業所利用者143名中、障害程度区分6の方が26名(18パーセント)で、5の方が37名(26パーセント)、4の方が40名(28パーセント)で3の方は31名(22パーセント)、残りの9名が区分1と2となっています。
この方々を支援する職員は全体で219名おり、常勤職員は136名で62パーセント、非常勤職員は83名で38パーセントとなっています。男女比は65名と154名です。
事業運営の基本方針
どんなに重い障害があろうと、人として幸せに生きていく権利があります。こんな毎日を送りたい、こんな人生を過ごしたい等など、人によりたくさんの思い出や願いがあります。
さざんか会はそんな障害を持った人たちの暮らし作りを応援します。施設に於ける支援、在宅サービスや地域福祉サービス等など、可能な限りその人一人一人に満足して頂けるようなサービスの提供を心掛けています。
目まぐるしく変わる制度の渦中で
措置制度から支援費制度、障害者自立支援法から障害者総合福祉法へ、近年制度改正の波紋が広がりました。この間、法律の改正や新たに施行された法律もありますし、障害福祉のシステム全般も大きく様変わりしました。そんな状況下において、本質的に変革を目指したものは何だったのでしょうか。
少なくとも、障害のある人が一方的な保護や救済の対象としてではなく、一人の人として平等に社会に位置し、尊厳をもって生活を送る、そのことを目指したのではないでしょうか。社会福祉法の制定や障害者基本法の改正、障害者虐待防止法の施行等はこの実現を期したものではなかったのでしょうか。更に、障害者差別禁止法の制定や、課題である障害者権利条約の批准も待望されます。
この国の憲法に明記された基本的人権、幸福追求権や生存権、職業選択の自由や教育を受ける権利等国民として平等に保障されるべきもの、それが障害のある人たちに対しては蔑ろにされてきたことはなかったでしょうか。蚊帳の外におかれたことはなかったでしょうか。
理不尽でつらい思いを強いてきたことはなかったでしょうか。 私たちは未来を信じたいと思います。障害のある人もそうでない人も、等しく暮らす社会を実現させたいと願います。今までもそうであったように、さざんか会の責務をその為に傾注させて行きたいと思います。